『学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ』 石川晋著 学事出版

待ちに待った石川先生の最新作。
Amazonで予約をしていたのですが、ずっと来ませんでした。Amazonで教育書を予約する場合は、予約開始すぐにやらないと駄目ですね。乗り遅れたら、発売後書店に行った方が早いですね。

学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ

学級通信を出しつづけるための10のコツと50のネタ

さて、感想です。
この本はさまざまな意味をもった本だと思いました。

まず、学級通信の優れたノウハウ本だということです。
多くの方法・ネタが書いてあり、すぐに使えるもの満載です。そして、考え方がしっかり書いてあります。「何のために出すのか。」「誰を読み手として捉えるのか。」など、当たり前のようだけど、結構いい加減にされがちな点をしっかりと指摘しています。やっぱりこういう所が大切だと思います。自分の通信を考え直すよいきっかけになりました。
私は、学級通信を出すのが苦手です。なぜならば、仕事と子育ての両立を目指し日々ギリギリの生活をしており、学級通信を出す時間を確保することがなかなか出来ないからです。たまにふっと生まれた時間に学級通信を作ろうと思うのですが、そのときは腰が重くなって、せっかく時間があるのに書かないままになってしまうことがあります。
この本の中には、数多く出すことよりも、定期的に出すことに価値があると書かれています。定期的に出すことで読み手も安心するし、作り手も覚悟が決まるような感じがします。
昨日の個人懇談で、保護者の方に私の学級通信を喜んでくれている方がいました。うれしいです。夏明けには、定期的に出して行きたいなあと思います。

次に、石川流学級づくりを伝える本だということです。
学級通信というフレームを通し、石川学級の学級づくりの様子を見て取ることが出来ます。学級通信ですので、断片的なのですが、逆に解説本では見て取れない部分を学級通信を通すことで見ることが出来ます。面白いなあと思います。

また、石川先生の生徒や保護者との関係の在り方が伝わってくる本です。
ここを強く感じたのですが、石川先生の教師としての在り方がよく伝わってきます。前にも書きましたが、私は石川先生の雰囲気が何よりも好きです。私は石川学級の生徒になりたかったなあと本当に思います。ふんわりとしてあったかいんすよね。安心して教室にいられそうです。自分もこんな雰囲気をもてたらなあと憧れています。このような石川先生の暖かみが学級通信を通して伝わってきます。教師は何をどう教えられるかよりも、まずは、どう在るのかだなあと改めて思いました。

そして、前作『対話がクラスにあふれる!国語授業言語活動アイデア42』(明治図書)と2冊を読むとそれぞれの意味が深まってきます。
この本の学級通信には対話授業に関する解説がいくつか出てきます。保護者に授業の様子や価値を伝えることで、まだまだ社会的に価値を認められていない「対話授業」の了解と啓蒙を保護者に行っていることが分かります。そして生徒には、授業の価値づけを再び行う共に授業のフィードバックも行っていることが分かります。
また、『対話がクラスにあふれる!国語授業言語活動アイデア42』には石川先生の教育観が書かれています。それを読むと、なぜ学級通信を大切にしているのかが、より分かって来ます。
映画や本で一つの出来事の裏と表を描く手法があるかと思いますが、そんな感じです。一つ一つ独立した作品なのですが、両方見る(読む)ことで、「ああ!そう言う意味だったのか!!」「お〜!奥が深い!!」というような気付や興奮を得ることが出来きますよね。まさにそれです。

このように、さまざまな意味をもった本です。前作とともに読むと日本でも「特異な」石川学級の様子を見ることができます。面白いです。夏の読書におすすめです。


ただ、石川晋さんはやはり「特異」な方だと改めて思いました。
クラシックからポップまで音楽に関する幅広く深い知識や感性。数多くの読書量。自然の知識。文才。
石川先生は「自分の好きな所を生かしているだけ。みなさんも自分の得意な所あるでしょ?」とはおっしゃられます。でも、こんなのを見てしまうと、自分の浅さをつくづく感じてしまいます(笑)。


まあ、自分のできるところから、ですね。